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社寺の健康診断/中外日報新聞
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4.見積もりは「診断後に」

四、見積もりは「診断」後に 危険度下げて工事費抑える

改修・補修工事は、新築以上に大変で、宮大工としての経験と技量が最も問われる工事である。建物の外観からは決して見えない部分を推量し、昔の大工の巧みの技に思いを馳せながら推察しなくてはならない。時として、大工の技量と想像力の不足は工事を過少にみてしまい、後々のトラブルの原因となることがあるし、怖がって過大にみてしまい、工事費が数倍に膨らむこともある。
「健康診断書」は後々のトラブルを防ぐ
以前、ご住職様から「改修工事の業者を選びたいのだが、手伝ってくれ」と頼まれた。すでに数社が独自に見積もりを出していたのだが、大きな開きがあるため、決めかねているのだと言う。たとえば、瓦の下地の野地板について、A社は全部取り替えで見積もっているが、B社は半分取り替えで見積もっているのだといった具合である。
そこでご住職様にお願いして"健康診断"から始めさせていただいた。 柱の倒れ、地盤の沈下、敷居・鴨居の歪みを一本一本実測し、床下をはい回り、屋根裏に入って今のままで風雨に耐え得るかを調査・判断した。そして今回の工事が表面だけの化粧直しに終わらず、"病気"の根源から"治療"できる工事になるよう、宮大工の経験と知恵で不具合の原因を突き止め、最良の"処方箋"を書き込んだ「健康診断書」を作り上げた。
そのようにすると、業者は、改修の対処法まで書かれた共通の報告書を基に積算するので、各社の見積もりの誤差が少なくなる。また見えない部分の危険度が極端に少なくなるので、安心して見積もりをすることができ、工事費が割高にならずに済むのである。

社寺の健康診断/中外日報新聞

一般に改修工事の単価はその危険性のために新築工事の二割り増しといわれている。その差額だけで充分調査費用が出てくるのである。
この時の場合も、各業者に再見積もりをしてもらい、ご住職様が簡単に金額の比較ができるようにして差し上げた。
棟梁の経験や年齢・熱意も判断基準に
ここから先は"健康診断"の仕事ではないが、工事を発注される時、私は単に金額のみで判断するのではなく、会社の経歴・棟梁の経験・年齢・熱意も判断の基準に入れていただくようお願いしている。その時には、新築工事だけでなく、多くの改修工事を手掛けた棟梁を選んでいただければ、と思っている。
建物も、自分の寿命を全うしたいと願っている。日ごろ、神仏を雨風から守り続けている社寺に時折、「今日も元気か」と声をかけていただきたい。

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